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ひとり!?
、、、やっぱり指輪をはめてないのは、そういうことなの!?
心の声が漏れてしまったんだろうか。
「結婚していると思ってた?」
柔らかい声で、アレックスは聞いてきた。
「え、ええ」 正直にうなづく。
「確かに結婚はしたんだけど、、、でも2年しか続かなかった」
(えっ)
驚いて思わず顔をあげて、彼の顔を食い入るように見てしまった。
その表情はただ穏やかで、悲しみも後悔も、感情的なものは何も読み取れなかった。
「情けないことに浮気されてしまってね。でも、」
彼はまるで他人事のように淡々と話す。
「 “あなたには他に好きな人がずっといるでしょう!” って俺の方が責められて、」
アナは呼吸をするのも忘れそうになって、彼の次の言葉を待った。
「、、、否定できなかった」
そういうとアレックスは初めて、無表情を崩して、悲しそうに微笑んだ。
どうしよう、もう足が動かない。
アナは固まったままの足元に目線を落とした。
「君は?」
彼の質問で、我に帰る。
「君は今、誰かと暮らしているの?」
「、、、!」
どうしよう、どう答えよう、と躊躇したとき、「次の方!」 とアレックスのレジの順番が来てしまった。
黙ったままレジのベルトの上に商品を置いていくアレックス。
支払いをさっと済ませると、アナの方を見て、「じゃあ、」 と軽く微笑むと、行ってしまった。
、、、、、、。
どうして。
どうして、私も一人なの、と言えなかったんだろう。
だけど。
もしそう言えたとして、その先にいったい何が待っているんだろう。
「あの、お支払いはカードでなさいますか?」
レジの人の声で、慌ててアナは今自分がどこにいるのかを思い出した。
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