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その約束は、わりとすぐに実現した。
アレックスがProseで知り合った常連客たちを呼んで、中華料理をふるまったのだ。
野菜を中心にした、シンプルで素材の味を生かした料理。
なんでもブラウンソースで炒めてしょうゆ系の味にしてしまう、典型的なアメリカの中華料理とはまるで違うものだった。
料理は大評判だった。
アナは料理のための買い物を手伝い、皆の飲み物が足りているかチェックし、きびきびと動き回った。
ルナとマリはそれぞれ学校での勉強がたいへんとやらで来ていなかったので、女性は彼女と、常連客の一人が連れてきた奥さんぐらいだったせいもあったかもしれない。
「おいしかったぜー」
「いやもう、本場最高! 最高ね!」
「じゃあ、また店で!」
皆が帰るとき、アナも帰ろうかと立ち上がりかけたが、振り返るとキッチンには山のような洗い物。
「俺、あの酔っ払い連中二人ほど家に送って帰るから、アナ、片付け手伝ってあげたら?」 ジョーが言った。
「いや、片付けは俺一人でゆっくりやるよ」
アレックスが見送りがてら、玄関に来て言う。
「えっと、、、」
どうしよう。
「二人でやったほうが早いだろ」
そういうと、ジョーは 「ちょっと車出しますから、そこで待っててくださいー」 と下にいる人たちに声をかけて、行ってしまった。
「、、、、、、」
「じゃあ、ばーっと片付けちゃうか」
アレックスが肩をすくめて言いながら、キッチンに戻っていった。
アナは無言でそのあとを追いかけた。
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