フラワーガールの恋

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*** アレックスがざっと洗ったものを、アナが食洗機に並べて入れていく。 二人で暮らしたら、こんな感じなんだろうか。 「アナ、」 アレックスの声に、アナの際限なくひろがっていた想像は途切れた。 「あのころは本当に、待たせ続けてすまなかった。でも本当に、君の元に帰るつもりでがんばっていたんだよ」 「うん」 もういいよ、もういいんだ。 アナは心の底からそう思った。 片づけが終わると、もうかなり遅い時間になっていた。 「念のために聞くけど、迎えに来てもらわなくていいの」 「そんな人いないわ」 アナが即答する。 「じゃあ堂々と君を送れるな」 「別にタクシーで、、、」 冗談じゃない、とアレックスは言ったその言葉通り、アナをマンションの目の前まで送り届けた。 彼の車を降りるときに、アナは一瞬、躊躇した。 ここまで送ってくれたんだし、あがってもらってお茶でも、、、。 でももう深夜といっていい時間帯だし、、、。 「じゃあ、また」 そんなアナの葛藤を知ってか知らずか、アレックスは穏やかな声でアナに言った。 「ちゃんと無事に建物の中に入るまでは、ここから見届けるから」 そういって車のハンドルに頬杖をついて、こちらに笑顔を向けた。 そういわれては、中に入るしかない。 部屋に戻って、窓際に駆け寄って外を見ると、遠ざかるアレックスの車のテールランプが見えた。 やだ、帰らないで。 もっと一緒にいたいの。 胸の奥が焼け付くような思いだった。 今度彼と二人きりになったら、、、 そう、素直に言おう。 もう、別々の場所にいるのは嫌だと。
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