フラワーガールの恋

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*** 翌日。 母の部屋で、姉妹は床の上に大小の箱や袋を並べて、彼女が遺したものを整理していた。 几帳面だった母の性格のおかげだろうか。 持ち物はかなり処分されていて、整理は思ったより早く済みそうだった。 「あ、これだ」 エリカが、アナに小さなクッキー缶を渡す。 「お姉ちゃんに渡したいって言ってた箱」 そういえば。 最後に母と話したとき、箱がどうとか言っていたなあ。 「お茶入れてくるね」 エリカはキッチンへとたっていった。 アナは箱の周囲にぐるぐると巻かれていたテープをはがして、ふたを外す。 中にはたった3通、手紙らしきものが入っていただけだった。 手紙とは、またこの時代にクラシックな、、、。 まあママはパソコン苦手だったからな。 スカイプのやり方を教えた時も、「機械通して顔見て会話なんてしたくないわよ!」 って憤慨してたっけ。 母のそのときの顔を思いだして、笑いがこぼれる。 その笑顔は、1つ目の手紙を取り出してみて、すぐに消えた。 それはアレックスからの手紙だった。 遠い昔、彼が大学を出て中国に赴任して、約束したクリスマスに帰れなかった、あのころの彼からの。 ―――― アナ、約束したのに、クリスマスに戻れなくて本当にごめん。 電話もメールも上手く通じないんで、これを書いている。 悲しい思いをさせてしまったと思う。 本当にすまなかった。 今、かなりがんばっているんで、現在関わっている仕事は後1年くらいでめどがつくと思う。 そうしたら誰に何を言われようと、絶対に君の元に帰る。 それですらも待てないと言うのなら、、、転職も考える。 でもそのためには、君がどう考えているかを知りたいんだ。 いつでもいいから電話をしてくれ。 愛している。              アレックス
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