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謝ることができた、、、。
少しだけ安堵したアナが目をあげると、アレックスが何かを考え込むように自分の足元を見つめていた。
それから、まっすぐに彼女の顔を覗き込んで、言った。
「アナ、」
彼の強くて真剣な眼差しに目が離せなくなる。
「寒くなってきたし、これで本当に最後にするから。もう一度だけ、聞いいていいか?」
心なしか、少し震える声でアレックスは続けた。
「俺の立場とかそんなこといっさい関係なしに、、、。知りたいんだ。君の本当の気持ちを」
少しだけ体をアナの方へと傾ける。
「、、、、、、俺と離れたい? もう2度と、会いたくない?」
「、、、、、、や」
何年もかけて築き上げてきた心を守るための壁が、ガラガラと崩れ落ちていく。
中に隠れていたのは、高校生のころから抱いていた、彼に対する柔らかでまっすぐな気持ち。
「やだ、、、離れないで、、、、、、また離れるのは、、、いやっ、、、!!」
首を横に振りながら、小さな声だがはっきりと、アナは叫んだ。
「、、、本当に!?」
「うん、、、」
「、、、アナ、、、!!」
アレックスは涙声で詰まりながらうなづいたアナの背中に手を回すと、自分のほうに彼女をぐいっと引き寄せて、抱きしめた。
きつく、きつく。
「好きだよ、、、」
アナの耳のそばで、吐息混じりのアレックスの囁きが漏れ、アナの背筋に震えが走った。
「どうしても、、、どうしても好きで仕方がないんだ、、、」
このままだと気が遠くなりそうな気がして、アナは彼の背中に回した指先に、力をこめた。
「私も、、、」
アナの呟きを耳にするとアレックスは微笑んで、少しだけ体を離して手袋を外した。
そしてアナの頬に両手の親指でそっと触れる。
冷えきった頬に流れる涙を両手の親指の腹でぬぐうと、そのまま顔を引き寄せてキスをした。
「ん、、、」
雪の勢いが強まり始めたのに、熱に捕らわれた二人のキスはどんどん深くなる。
「んっ、、、」
「ダメだ、止められなくなりそうだ」
ようやく唇を離すと、アレックスは苦笑しながら、アナをまた抱き寄せた。
「寒いだろ」
「だいじょうぶ」
こんな天気の中外にいて、とても冷えてきているはずなのに、コートの中の体はとても熱く感じる。
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