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「あのさ、」
「はい?」
「今日はもう俺がいるし、もうすぐマリたちが来るから、帰っていいよ」
「はあ?」
「今日は有給あげるから、ふたりでゆっくりお祝いでもしてきて?」
「え、で、でもっ」
「いいから。オーナー命令」
後ろで聞いていたアレックスがふきだした。
「アナ、ああ言ってくれているんだから、帰ろう?」
「でもあなただって、仕事、、、」
「なんとかするよ。午後から出てもいいし」
「え、、、」
アナの肩をそっと押して出口に行きかけたアレックスは、ふと思い出したように踵を返すと、ジョーのところにやってきた。
「いろいろと、ありがとうございます」
「いえ、俺は何もしてませんよ。、、、お幸せに!」
ジョーは店を出て遠ざかる二人の後姿を見つめながら、「20年か、、、すごいな」 とつぶやいていた。
それだけ離れていても同じ人を愛しぬく自信や覚悟が、果たして自分にはあるのだろうか。
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