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「マリ、ルナ、」
式が終わり、そのあとのパーティで皆が飲み物を片手に談笑しているとき、アナが若い店員二人を手招きして呼び止めた。
「あなたたちに、ブーケを半分こしたのをあげるわ」
「え?」
白い蘭が贅沢にあしらわれたブーケが、すでに綺麗にふたつに分けられ、リボンもそれぞれに結びなおされていた。
「いいんですか、ブーケ投げなくて」
「私の友達は、皆もう結婚なんか、とっくにしてるもの」
そういってアナは柔らかに笑う。
ほんといつものキリっとしている彼女と違うなあ、とルナは思った。
とても素敵な雰囲気だけど。
「じゃ、遠慮なくもらいまーす」
マリがおどけた。
「二人に、ふたつだけアドバイスね」
「は?」
「私みたいに、回り道しないこと 」
「はあ」
二人は、まだ今回のアナの結婚までのいきさつをよく知らない。
「そして何よりも大切なのはね、好きな人との将来は、二人で一緒に考えること」
「アナ!」
そう言い終えたアナを、遠くからアレックスが呼びながら、こちらに近づいてきた。
「君に紹介したい人がいるんだ、、、。あ、ルナちゃんとマリちゃんだよね。いつもアナから話は聞いているよ。優秀な店員さんたちだって」
「ええ、そうですかー」
「おめでとうございますー」
「辣腕店長をさらってっちゃってごめんね。これからのProseをよろしく。また遊びに来るから」
そういうとアレックスはアナの頬にキスをひとつ落とし、アナに 「ちょっと!」 と軽く睨まれた。
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