第1章 すべてのはじまり

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「俺が探ったワケじゃない。俺と乃彩の婚約を知る同僚が調べてくれたんだ。来月の3月は…ウチが貸し渋る月。銀行は、『雨に濡れている者に傘は貸さない』」 そんな言葉…川瀬さんの口から訊きたくなかった。 大手メガバンクの帝和銀行の融資確約が取れないとなれば…他の金融機関だって… さっきまで光っていた薬指のダイヤが急激に眩い煌めきを失くし、唯の石ころに見え始める。 私の喉は目の前の美味しそうな料理が通らなくなった。
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