終章

24/25
1389人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「え? いい行く? どこへ、って、え、樹くん?」 「ごめんね。今は説明してる時間がないんだ」  申し訳なさそうにそう言うと、樹はポケットから白い布を取り出した。  なにそれと、ヒナの視線が樹の手の動きを追う。 「いい子にしてて?」 「え……んうっ!?」  手にした布を、グッと顔に押しつけられる。  驚愕に目を見開いたが、文句の言葉も、腕の力も、視界も白く霞んでゆき、急速に意識が遠くなる。  そしてヒナは、抵抗する間もなく、がくりと樹の腕の中で気を失ってしまった。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!