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「え? いい行く? どこへ、って、え、樹くん?」
「ごめんね。今は説明してる時間がないんだ」
申し訳なさそうにそう言うと、樹はポケットから白い布を取り出した。
なにそれと、ヒナの視線が樹の手の動きを追う。
「いい子にしてて?」
「え……んうっ!?」
手にした布を、グッと顔に押しつけられる。
驚愕に目を見開いたが、文句の言葉も、腕の力も、視界も白く霞んでゆき、急速に意識が遠くなる。
そしてヒナは、抵抗する間もなく、がくりと樹の腕の中で気を失ってしまった。
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