波乱なるセブ

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「えっ、そうなの!?」 「ルカちゃん、地黒、気にしてるから内緒ね?」  樹はわかったと素直に頷いたものの、「あとで絶対チクってやる」と聞こえないほど小さな声で呟く。 「ありがと、ヒナ。ヒナも塗ってあげる」 「うん、ありがと」  ヒナはくるりと背中を樹へと向けた。  樹は一瞬目を見開いたが、ヒナは自分の腕やら首やらを塗るのに必死になっている。  樹はそれを見て、片眉を器用に跳ね上げた。 「あれ、無防備。意識されてないんじゃないの? いっちゃん」 「違う。……信頼されてるだけだ」  ヒソヒソと交わされる内緒話に、ヒナは「なに?」と振り返る。 「ううん。なんでもない」  樹は大仰な溜息をつきながら首をふると、手にしたクリームをヒナの背に塗りだした。
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