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サングラスをコートのポケットへと仕舞いながら、ルカはヒナに近付き彼女の背を軽く叩いた。
「ヒナ、なんでいきなりセブにおるんや?」
「夏休み、海に行きたいって言ったら、樹くんが連れてきてくれたんだけど……ルカちゃんはなんでここにいるの?」
ヒナは何故ここにルカがいるのか分からず、白昼夢? とばかりに目を瞬く。
刹那、ルカはムッとした顔で樹を見遣り、
「画展、けーへんからおかしい思て社長に聞いたんや。ほんなら、そのガキンチョと一緒にセブ行った言われてな。俺も画展の後アジア廻るて言うてたやろ? せやから、ついでやしヒナ達と合流しよ思てな。ええよなあ? 樹くん」
挑戦的な眼差しで、ニヤリと片微笑みながら、ルカは樹に問う。樹はヒナとルカの間に割って入って、
「……いいわけないだろ? 高梨さん、それ以上ヒナに近付かないでくれないかな?」
返事は否のみ、とばかりに、樹はヒナの背に廻ったルカの腕を叩き落とした。
敵意を剥き出しにする樹に、楽しくて仕方ないといった顔で、ルカは彼に触れようとする。
その手を、また横から別の人物によってはたき落とされた。
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