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「……ホント、アンタむかつくね。アンタが何を考えようと、ヒナはボクのものだよ。昔っから、ボクのものって決めてる。今後、それを違えることはない。ボクから奪うつもりなら、……覚悟しな」
「ふふっ。よく言うわ。余裕ぶっこいて、ホンマは自分に自信ないんやろーが。だからヒナにこんなセンスの欠片もない首輪もどき、着けてるんちゃうの。こんなんヒナの趣味ちゃうやろ。なあ、ヒナ。くくっ、ええ趣味してるなあ、ガキの分際で」
ルカはヒナの首に嵌まったチョーカーを、忌々しげに引っ張った。
それを見た樹に、静かな憤怨の焔が立ち上る。
彼女の首に無遠慮に触れるルカの手を振り払い、樹はヒナの腕を掴んで自分へと引き寄せた。
「黙れよ、クソ犬が」
「ほーら、余裕消えてるで? ヒナ、ビビってるんちゃうのん。ええのん? ほら、ヒナ、おいで。俺と行こ。絵、なんぼでも教えたる。技巧でもなんでも、そのガキにはわからんこと、俺やったらなんぼでも聞けるんやで」
ルカは見下した顔をして樹を嗤い、ヒナの一番興味を惹く内容をちらつかせて彼女を絡め取ろうとする。
ハッと樹はヒナに視線を移した。
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