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「樹くんはダメ。樹くんのこと、大切に想ってくれてる徹さんの方が良いと思うの。きっと樹くん、私が弱音吐いたら、私のこと甘やかしちゃうでしょ? それじゃダメ。徹さんに認めてもらえるように、私、頑張りたい」
「……ふーん? ま、受けてあげても良いけど。面倒くさいからセブにいる間だけだよー?」
仕方ないといった顔でわしわしと頭を掻きながら、徹はヒナに答えを返す。
ヒナの顔がぱあっと輝いた。
「はい! 頑張ります!」
「そんな短期間で、何が変わるとか思えないけど。暇つぶしくらいにはなるかなー?」
「……俺も付き合うわ。この女顔ヤローの言葉も態度も何もかもが気に入らん。ヒナになんかあったら、啓太さんに顔向けでけんなるしな。見張らせてもらうで」
傍観していたルカは、苦虫を噛み潰したような顔で徹を睥睨する。
「好きにしたらー? ちなみにオレもアンタみたいな愚直な大型犬、その無礼な口、塞いで嬲りたくなるくらい嫌いだからー」
「……なんや表現が変態チックな男やな。さぶいぼ(鳥肌)立ったわ」
気持ち悪いとばかりに自分の腕を撫でさするルカを尻目に、徹はチラリとヒナに視線を向けると、フッと片唇をつり上げた。
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