狙われたヒナ

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「答えろ」 「……知らないってば。なんでオレのせいにするのー? ヒドいよ、こんなにヒナちゃんのこと心配してんのにー」  へらへら笑いながら、徹は樹の目を見ようとしない。樹に見透かされるのを恐れてか、前のめりに屈みながら、視線は足元に落ちたまま。 「そうだね。心配、してたんだろうね。だから、渡さなくてもいい電子辞書なんて渡した。自力で何とか戻ってこれるように。ボクの助けがあるのを知りながら。違う?」  徹の動揺を見て、樹は核心を突いた。 「誰かを盾に取られたね?」  徹の目が大きく見開かれる。  驚愕に歪む眸。笑みを刻んでいた唇が戦慄く。 「大方、誰の指示かはわかってるんだけどね? 徹の口から言ってくれたら助かる」  ――――服に忍ばせてあるボイスレコーダーに録音できるから。  そんな小細工、あえて言わなくても徹なら分かってるだろうが。
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