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「なあなあヒナ、ホンマに樹くんと付きおうてんの?」
樹の不機嫌など全く無視して、ルカはヒナに疑問を投げた。
「えっ、う、は、はい」
カアッと頬を染めて、ヒナは困り顔で俯いてしまう。
隣で黙り込んでしまったヒナを横目に、樹は満足げな顔でコーヒーに口を付けた。
「えー、うそーん。昔はオレの嫁んなるー言うてくれてたのにぃ」
不満げに唇を尖らせながらぶうぶう文句を言うルカを黙殺して、樹は隣で固まるヒナにちらりと冷たい目を向けた。
「……そんなこと言ったの? ヒナ」
責めるような樹の口調、視線に、ヒナは首を傾げて訝しむ。
「え、言ったかなそんなこと……あんまり覚えてないよ」
いつ言ったの? と、ヒナが聞き返したら、ルカは顎に手を当てて考え出す。
「んー、いつやったかなあ、確か、4歳くらいの時やろか?」
「無効じゃん、そんなの」
ヒナが何かを言う前に、樹が嘲笑混じりにばっさりと切り捨てた。
ルカはスプーンでパフェをグルグルかき混ぜながら、樹とヒナ、二人の様子を興味深げに観察する。
「まあ、樹くんもまだ小学生やしな。ええんちゃう? 子供らしゅうて可愛いやん」
お子様なヒナらしくていい。そう言うと、ルカは鷹揚に笑う。
樹はルカを一瞥しながら「子供らしくて可愛いだって?」と、氷のようの嘲笑を唇の端に浮かべた。
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