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「なんやの自分、そのバカにしたような笑いは。ホンマ生意気やなあ」
「アンタの言う通りとても可愛らしい付き合いなんで、邪魔……(したら殺す)しないでくださいね?」
運ばれてきたケーキにヒナが気を取られている隙に、樹はルカに向けて小さく牽制の言葉を放つ。
会話の途中、憎々しげに呟かれた聞こえないほど小さな樹の言葉を口の動きで捉え、ルカは目を瞠った。
「おおっ、なんや凄いな、キミ! やっぱ描かせてくれんやろか!?」
興奮したように顔を輝かせて頼み込むルカに、樹は「絶対イヤだ」と一刀両断する。
「あ、そうや、ヒナ。来週から始まる画展やんねんけどな、一緒に見ぃひん?」
樹にフラれたルカは、今度は美味しそうにシフォンケーキを頬張るヒナに目を向け、誘いを掛ける。
樹はズキズキと痛みだしたこめかみを押さえながら、「掴み所のないこの男は苦手だ」と舌打ちを鳴らす。
「画展? ルカちゃんの新しい絵、見たい!」
「オレ何枚かヒナの絵見せてもろてんけどな、ヒナが良かったら来年ウチの美大受験せえへん? ヒナの実力やったら推薦でいけるで。オレ、今あっこでたまーに教えてんねん。京都の大学やねんけどな」
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