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「ふうん? ボクのこと、仮面被ったまがい物って言ったけど。それ、自分に対しての言葉だったんだね。あんたこそ、画家の仮面を被ったまがいもの。ねえ、アンタ何者? 手際良すぎ。場慣れしすぎなんだよ」
壁に凭れながら、ルカは静かに樹の話を聞いている。
楽しげな笑みが彼の唇に刻まれていた。
「アンタがいつも着てる黒。それ、衣装っていうよりも、喪服のつもりなんじゃないの? 今まで何人殺してきた?」
「俺は殺しなんぞせえへん。殺しの専門は、さっきおった黒服の男達の方。俺の専門は別」
その答えに、樹はくくっと喉を震わせた。
殺しはしないが、それ以外のことはする。しかも、ルカの表情の動きから、彼は後ろ黒いところがあるようだった。
やはりこの男は使えそうだ。
そう樹は考える。
「で? 黒幕は誰や」
「……ボクの血縁者で、鷹城晶。ヒナを狙ったのは、恐らく晶の孫・鷹城望だろうね。ボクの婚約者を名乗る厚顔無恥な女」
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