狙われたヒナ

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  瞼から透けて見える陽の光に、ヒナはぼんやりとする頭で、朝が来たのだと感じた。起きなきゃと目をこじ開ける。 「おはよう、ヒナ」  柔らかい声に、頭がはっきりと覚醒する。  ヒナはベッドの傍らに座る彼に顔を向けた。 「……樹くん」 「身体、痛くない?」 「身体?」  ヒナはあっと声を上げた。  そうだ。自分は誘拐されてしまって、男達に囲まれて。  そして樹が助けてくれた。  どう考えてみても、あの状況で逃げきることは難しかった。  出来なかった。  ……だから。 「樹くん! ごめんね、もうしない。あんなこと、もうしないから」  あの時、樹は泣いていた。  見たことがないくらい哀しい顔をして。  あんな顔をさせてしまった。  あそこで穢されてしまうくらいなら、死んでもいいと思ってしまった。  その選択が樹に衝撃を与え、彼を傷つけてしまった。  ごめんねと、ベッドの上に置かれた樹の掌を握りしめて、ヒナは掠れた声で繰り返した。
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