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――――京都の大学だと?
樹はイライラしながらも、ヒナがどういった反応を見せるのか、息を呑んで見守った。
「あの美大で有名な所? 行けたらいいなあ」
「ヒナなら行けるで。ってか、なんや危ない響きでええなあ。客員やけど一応大学教授のオレと、可愛い女子大生ヒナ。ラブロマンス的なことになりそうな気ぃせえへん? 奥様は18歳的な」
ニヤっと人の悪い笑みを浮かべて、ルカは樹を見据えながらそんなことを言う。
彼の試すような物言いに、樹の顔がピキッと引き攣る。
剣呑な光を放つ双眸をルカに向けたまま、樹は手にしたコーヒーカップを乱暴にソーサーへと置いた。
「ならないよ。バカじゃない? あんたロリコンなの? キモチワル。それにヒナ、まさか大学、京都へ行く気じゃないよね?」
びっくり顔のヒナが口を開きかけた時、彼女の答えを遮るようにして、ルカがハハッと声をあげた。
「ロリコンて。ほなら樹くんと付きおうてるヒナはショタコンか? ほんまおもろいなあ、キミ。でもなあ、ヒナはもらうで。京都へ連れてく。実力ある子ぉや。イギリスの大学とも姉妹校として提携してるし、留学も出来る。ヒナの才能伸ばしてやれる」
ヒナに向けた樹の問いに、ルカが答える。
「あそこの大学やったら社長であるヒナの母親も賛成してるし、考えといて?」
ルカは巨大パフェを見事に平らげた後、ヒナたちを残して会計を済ませ、
「ほな、約束あるから行くわな。ありがとー」
と、来た時同様、嵐のように去ってしまった。
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