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「ふふっ。いいね。ヒナ、ボクと離れるの、それほどイヤなんだ? そんな縋るような目で、切れるほどに唇噛み締めて、ボロボロ泣いて。ふふっ」
ぐしゃぐしゃになった顔を樹に向ける。嬉しそうに、いじわるそうに、樹はクスクス笑っている。
我慢できなかった。
自分の中で、ぷつんと何かが切れる音がした。
樹を睨みながら、ヒナは大きく息を吸い込んだ。
「いやに決まってるじゃない! なんで笑うの!? 樹くんはいいの!? 会えないって言ったんだよね!? 毎日会えていたのに、小さい頃からずっと一緒だったのに!! もう、もうっ……会えないとか、いやに決まってる!! あっ…………つぅっ」
傷が開きそうになるくらい痛む。
けれど、溢れ出す感情が止まらなくて。
堰を切ったように、濁流となって迸るように、ヒナの心をぐしゃぐしゃに掻き乱す。
溢れる想いを止める術が見つからない。
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