終章

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 ヒナ誘拐事件の後、怪我をしたこともあり夏休みが終わるギリギリに帰国した時には、鷹城家はアメリカへ発った後だった。  同時に、テレビから流れるニュースも、鷹城コンツェルン内部崩壊の危機を伝えるもので持ちきりで。  樹が予測した通り、株価は暴落を続けた。  それは、事実上鷹城コンツェルンが二分化したことによる影響なのは明らかだった。  旧・鷹城コンツェルンは、鷹城晶が代表取締役として就任し、そして、国内の一部関連企業と外資系を含む企業を、新・鷹城コンツェルンとして鷹城総一郎が継続し代表を務めることになった。  鷹城晶側の株価は一度大きく跳ね上がったが、それ以降、未だに低迷を続けている。  一方、総一郎側の株価は安定して上昇を続けていた。  それらを見るたび、ヒナはホッと胸をなで下ろした。  そして、心が昏く沈んでもいった。  大人の難しい諍いに、まだ子供の樹が巻き込まれてしまったことを、ひどく理不尽に思った。  けれど。 「……樹くん、ただじゃ起きない。怒らせたらすごく怖いんだから」  そう独りごちて、ヒナはふふっと笑った。
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