セブ編~序章~

6/30

1391人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
「うわあ、ルカちゃんに会うの何年ぶりだろ」  瑠伽の生活の拠点が元々大阪だったということもあり、父が亡くなってからは、彼とは疎遠になってしまって。  ヒナは悲しかった。  昔を思い出し、懐かしい思いが胸を満たす。  ヒナは母とルカが電話で話すのを、隣で耳をそばだてて聞いていた。 「瑠伽くん、来週、駅前の画廊で個展開くのね。打ち合わせも兼ねて、明日からこっちに来るんだけど、あたし明日は朝一でイタリアに買い付け行かなきゃだし。悪いけどヒナ。明日の日曜、お母さんの代わりにコレ、瑠伽くんに渡して欲しいの。持って行ってくれない?」  電話を置いた母は、封筒を示しながらヒナにお願いと手を合わせてくる。  ヒナは「わかった」と満面の笑みを浮かべた。 「うわあ、ルカちゃん久しぶりだよ」  会うのは数年ぶり。父が亡くなった時以来だった。  ヒナは飛び上がって喜んだ。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1391人が本棚に入れています
本棚に追加