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「うわあ、ルカちゃんに会うの何年ぶりだろ」
瑠伽の生活の拠点が元々大阪だったということもあり、父が亡くなってからは、彼とは疎遠になってしまって。
ヒナは悲しかった。
昔を思い出し、懐かしい思いが胸を満たす。
ヒナは母とルカが電話で話すのを、隣で耳をそばだてて聞いていた。
「瑠伽くん、来週、駅前の画廊で個展開くのね。打ち合わせも兼ねて、明日からこっちに来るんだけど、あたし明日は朝一でイタリアに買い付け行かなきゃだし。悪いけどヒナ。明日の日曜、お母さんの代わりにコレ、瑠伽くんに渡して欲しいの。持って行ってくれない?」
電話を置いた母は、封筒を示しながらヒナにお願いと手を合わせてくる。
ヒナは「わかった」と満面の笑みを浮かべた。
「うわあ、ルカちゃん久しぶりだよ」
会うのは数年ぶり。父が亡くなった時以来だった。
ヒナは飛び上がって喜んだ。
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