セブ編~序章~

7/30

1391人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「で? ソイツ迎えに行くから、今日は都合が悪いって?」  ――――約束してたのに。  日曜日の昼過ぎ、樹はヒナ宅の玄関前で仁王立ちになり、ヒナをじとっと見据えながら言った。  用事が出来たから約束は今度でいい? とヒナが電話した10分後に、樹はヒナ宅へこうして乗り込んできたのだ。 「ごめんね、樹くん」 「ヤ。ボクも一緒に行く。いいよね?」  しょぼんと項垂れるヒナに、樹はついて行くと言い張った。 「え? あ、うん。急にごめんなさい」 「まあ、おばさんの頼みなら仕方ないよね。で、そのルカって、男なの?」 「うん。そうだよ」 「……ソイツ、30近いオッサンだったりする?」  何かを探るような視線で射られて、ヒナは首を傾げながら答えた。 「え? ルカちゃんはまだ27歳だよ、おじさんじゃないよ」  ひどいなあとヒナは眉を顰めるが、27歳と言う年齢を聞いた途端、樹はげんなりとした顔でヒナを睨んだ。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1391人が本棚に入れています
本棚に追加