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「で? ソイツ迎えに行くから、今日は都合が悪いって?」
――――約束してたのに。
日曜日の昼過ぎ、樹はヒナ宅の玄関前で仁王立ちになり、ヒナをじとっと見据えながら言った。
用事が出来たから約束は今度でいい? とヒナが電話した10分後に、樹はヒナ宅へこうして乗り込んできたのだ。
「ごめんね、樹くん」
「ヤ。ボクも一緒に行く。いいよね?」
しょぼんと項垂れるヒナに、樹はついて行くと言い張った。
「え? あ、うん。急にごめんなさい」
「まあ、おばさんの頼みなら仕方ないよね。で、そのルカって、男なの?」
「うん。そうだよ」
「……ソイツ、30近いオッサンだったりする?」
何かを探るような視線で射られて、ヒナは首を傾げながら答えた。
「え? ルカちゃんはまだ27歳だよ、おじさんじゃないよ」
ひどいなあとヒナは眉を顰めるが、27歳と言う年齢を聞いた途端、樹はげんなりとした顔でヒナを睨んだ。
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