薬剤師物語

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―翌日― ニヒルで割とハンサムでちょっといい感じ・・・。 朝の朝礼で秀一の姿を初めて目にした小枝子は、そんな第一印象を彼に持った。 斎藤はちょっと不服そうに彼を斜めに見ていた。 高橋は何故か驚いて、半分興奮気味。 他の従業員の持った印象も、小枝子とさほど変わりなし。 しかし、秀一の放つクールで影のある雰囲気は小枝子の持つほんの少し寂しげな雰囲気と交わり、狭い調剤室を静かに覆っていた。 ※           軟膏のMIX(混合調剤)をしている俺に若い女の薬剤師が近づき、話しかけてきた。 「あなた、西丘高校の成田君よね?」 「そうですけど、アンタは?」 俺はこの女を知らねぇが、彼女は俺のことを知っているらしい。 「私は高橋岬。あなたと同じ西丘高の卒業よ」 なるほど、それなら停学をくらった俺のことは知っていて当然だ。学校内でも結構問題視されてたことを思い出した。 「で、何の様です?」 「何の様?ってぶっきらぼうね。これでも私はここではあなたの先輩よ」 「はいはい・・・」 話が長くなりそうなので適当にそう返事すると、俺は煙草を吸いに事務室に向かった。 「成田君、どこ行くの?」 突然、店長(管理薬剤師)の榊原さんが聞いてきた。 「煙草吸いに行くんですけど・・・」 「成田君、この建物は全面禁煙よ。しかも、就業時間中の喫煙は禁止」 「そうなんですか・・・とにかく、俺のことは名前の方で呼んで下さい。その方が慣れてますんで」 そう言いながら、俺はポケットから煙草を取り出して一本加えた。 彼女はそれをサッと取り上げて 「私は小枝子。私も名前の方で呼んでいいわ」 と顎を上げながら言ってきた。 彼女はどう見ても俺みたいな生意気なタイプでないのに店長として精一杯つっぱたみたいだ。 なかなか面白い女性(ひと)だなと思いつつ、苦笑いを溜めこんだ俺は斎藤、とかいう奴の視線を背中に感じながら、そのまま先程の作業に戻った。 その時、突然、電話が鳴った。 ちょうど側にいた俺がそれを受けた。 向い側の病院からだ。
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