桜の華に誘われて…

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「いつも来てくれはって、おおきに」 行きつけの和菓子屋さんに着いた僕はお団子を下さいと頼み、店主であるお婆さんと言葉を交わす。 「いいえ、ここのお団子は本当に美味しいですから。 僕は京で一番だと思ってますよ」 僕がそう言うなりお婆さんは、 嬉しそうににっこりと笑い 「そうかい、そうかい。そう思ってくれてるなんて 有難い事だねぇ。…はいこれ、ほんの気持ちやけど」 と言って、お団子を一本おまけしてくれた。 「良いんですか?」 僕は申し訳なく思い、咄嗟に聞き返すとお婆さんは 目元の皺を深くし頷く。 「ええんよ、その代わりにまた寄って頂戴ねぇ」 「ありがとうございます。 また近い内に寄らせてもらいますね」 軽くお辞儀をし、お礼を述べた僕は 和菓子屋さんを後にした。 本当は新選組の皆にも買って行きたいところだけど、 今日は僕の分だけ。 今日はって、まぁいつものような気がするけど。 まぁ、いいよね。その辺はさ。 最近僕はよく甘いものを食べるせいか、 春の暖かな気候とは違ってまるで秋のように 木枯しが吹いていて悲鳴をあげる僕の懐。 だけど控えようにも、僕の甘いものに対する食欲は 止まること知らず、なんだよね。 やっぱり食べたいときに、食べなきゃ損だよ。  
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