桜の華に誘われて…

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僕は一瞬にして目を奪われた。 今から渡ろうとする橋の先に広がる光景は、 とても殺風景な処だった。 でもそんな何も無い場所の真ん中に、ぽつんと 大きな木が一本立っていて、満開の桜が咲き誇っている。 その光景は、少し離れているここからでも 美しいと感じられる程に。 僕の止まっていた足は惹き付けられる様に、 自然とその桜の木に向かっていた。 「………」 側まで来た僕は、木に触れながら見上げてみると、 改めてこの木の大きさに思わず感嘆の息を洩らす。 なんて綺麗なんだろう。 僕はそう思った。 そして 何でこんなに儚くて、こんなにも切ないのだろう。 と胸が締め付けられる感覚と同じ様な想いに、 僕の心は支配されてしまっていた。
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