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中庭のベンチに座り涙を拭うように、ひじ掛けにうつ伏せになった。
「…千波」
はぁはぁと息をたて、優莉は私の名前を呼んだ。
嫌だ、呼ばないでよ
「ねぇ千波、千波ったら」
だから、そんなに呼ばないでって
私は顔を上げずに、何も答えない。
上げたらきっと、優莉に迷惑がかかるから。もうかけてると思うけど、やっぱり駄目。
何度か優莉は私の名前を呼び続けたが、突然何も言わなくなった。
「…み、…っ」
え…?
「…ちなみっ、ち…な、みぃ…」
う…そ?優莉が泣いてる?
私はバっと顔を上げ、優莉を見る。
やっぱり優莉は泣いていた。
「ご、めん…っ、わったしが、何もいなかったから…」
違うよ、優莉
違うの…
私が悪いんだから、優莉があやまんないでよ
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