第1話 不安

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桜の蕾が花を咲かせる直前の季節、3月。 私達3年生は卒業する。 地元の高校に行く人もいれば、地元を離れ遠くの高校に行く人もいる。 そのなかで、私は地元の高校へ進学する。 ここを離れる事はない。 でも… 「千波ー!」 後ろから聞きなれた声がした。 「優莉…」 「もー、卒業式始まるよ」 「ごめん」 友達の優莉に呼ばれ後ろを向いた。 笑って答える優莉をみて、涙が出そうになった。 優莉は地元を離れ、九州にあるデザイナーの専門学校に進学する。 応援しなきゃ そう思ってもなかなか出来ない。 小学生から一緒だった優莉と別れるのは辛い。 何をしても優莉と離れる事はなかったから、いきなりそうなるのは胸が痛い。 涙をグっとこらえながらも、しばらく顔をあげられなかった。
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