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桜の蕾が花を咲かせる直前の季節、3月。
私達3年生は卒業する。
地元の高校に行く人もいれば、地元を離れ遠くの高校に行く人もいる。
そのなかで、私は地元の高校へ進学する。
ここを離れる事はない。
でも…
「千波ー!」
後ろから聞きなれた声がした。
「優莉…」
「もー、卒業式始まるよ」
「ごめん」
友達の優莉に呼ばれ後ろを向いた。
笑って答える優莉をみて、涙が出そうになった。
優莉は地元を離れ、九州にあるデザイナーの専門学校に進学する。
応援しなきゃ
そう思ってもなかなか出来ない。
小学生から一緒だった優莉と別れるのは辛い。
何をしても優莉と離れる事はなかったから、いきなりそうなるのは胸が痛い。
涙をグっとこらえながらも、しばらく顔をあげられなかった。
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