第1話 不安

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ざわめいてきた体育館の、赤いじゅうたんの上を歩きながら、吹奏楽部が演奏している曲を聞いた。 もちろん、なんの曲かは分からなかったけど。 ―早いなぁ 椅子に座ったら、何だか変な気分になった。 もう卒業か、嫌だなぁ みんなと別れたくない このまま時間が止まればいいのに… そんなような事が次々に溢れでてくる。 …願っても意味ないんだけどね。 「及川 千波」 「はい」 名前を呼ばれ、卒業証書を貰う。 私の担任の横田先生は、一言でいえば情熱的。ザ・熱血教師って感じ。 そんな先生がうざいと思っていたけれど、今ではすごく名残惜しい。 卒業ってすごいな。こんなに気持ちの変化があるなんて。 制服だって、いつもは短くするスカートも今日は膝下5センチだ。
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