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ざわめいてきた体育館の、赤いじゅうたんの上を歩きながら、吹奏楽部が演奏している曲を聞いた。
もちろん、なんの曲かは分からなかったけど。
―早いなぁ
椅子に座ったら、何だか変な気分になった。
もう卒業か、嫌だなぁ
みんなと別れたくない
このまま時間が止まればいいのに…
そんなような事が次々に溢れでてくる。
…願っても意味ないんだけどね。
「及川 千波」
「はい」
名前を呼ばれ、卒業証書を貰う。
私の担任の横田先生は、一言でいえば情熱的。ザ・熱血教師って感じ。
そんな先生がうざいと思っていたけれど、今ではすごく名残惜しい。
卒業ってすごいな。こんなに気持ちの変化があるなんて。
制服だって、いつもは短くするスカートも今日は膝下5センチだ。
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