【一】秘密の恋

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「早苗さんカッコいい」 木葉君が思わず声を上げる。 「早苗さん、店長、ありがとうございました」 「華ちゃんのために言ったわけではないわ。天狗の鼻をへし折りたかっただけ」 実力のある人は凄いな。 退職して困るのは、早苗さん本人ではなく会社側だとわかっている。 さっきのセリフは、早苗さんにしか言えない。 「店長すみませんね。私はクビになっても平気だけど、店長の立場悪くしたかも」 早苗さんはワインボトルを追加オーダーする。 「僕のことはいいよ。華ちゃんのことを悪くいうから、カチンと来たんだ。僕も前社長は好きだったが、新社長は苦手でね。さぁ、仕切り直し。木葉君の歓迎会だよ。せっかくのフランス料理だ。残さず食べよう」 「はい」 社長を追い出し、私達はワインのボトルを空ける。支払いは社長だ。 もし社長の怒りに触れ解雇されるなら、飲まないとやってられない。
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