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「早苗さんカッコいい」
木葉君が思わず声を上げる。
「早苗さん、店長、ありがとうございました」
「華ちゃんのために言ったわけではないわ。天狗の鼻をへし折りたかっただけ」
実力のある人は凄いな。
退職して困るのは、早苗さん本人ではなく会社側だとわかっている。
さっきのセリフは、早苗さんにしか言えない。
「店長すみませんね。私はクビになっても平気だけど、店長の立場悪くしたかも」
早苗さんはワインボトルを追加オーダーする。
「僕のことはいいよ。華ちゃんのことを悪くいうから、カチンと来たんだ。僕も前社長は好きだったが、新社長は苦手でね。さぁ、仕切り直し。木葉君の歓迎会だよ。せっかくのフランス料理だ。残さず食べよう」
「はい」
社長を追い出し、私達はワインのボトルを空ける。支払いは社長だ。
もし社長の怒りに触れ解雇されるなら、飲まないとやってられない。
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