【一】秘密の恋

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「そうね。トロいけど、仕事はやり易い。社長、私のアシスタントは私が決めます。スタッフを増員して下さるのは大歓迎ですが、華ちゃんを飛ばすなら、私の進退も視野に入れないとね」 「君の進退?この女のために辞めるというのか?」 「そうよ。波風立てないでくれるかな。新社長だか何だか知らないけど、一代でフラワーショップ華をここまでにしたのは、前社長だわ。あなたの力ではない。私が独立しないのは、前社長に恩があるからよ。親の築いた財力に、胡座を掻いて天狗になってるお坊ちゃんには、口を挟んで欲しくないの」 「…っ、何だと」 「早苗さん、口を慎んで。社長申し訳ありません。どうやら高級な酒に、みんな悪酔いしてしまったようです。無礼な発言をお許し下さい」 「社員の管理は、店長である君の責任だ。不愉快だ、今夜は失礼する」 社長は憤慨し、秘書と共に立ち上がる。私は早苗さんと店長の言葉に思わず感動した。
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