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【誉Side】
「やはり飲んでいたのね」
ドアを開けると、ゆりが笑みを浮かべた。
「お前も飲むか?」
「いただこうかしら」
グラスにワインを注ぎ差し出すと、ゆりは俺の首の後ろに手を回し抱き着く。
「私には口移しで飲ませてくれないの?」
「口移し?」
ゆりは妖艶な眼差しを俺に向け、手にしていたワインを一気に口に含むと、背伸びをし俺に口付けた。
口の中でワインの味が広がり、喉がゴクンと音を鳴らす。
「どうした。お前らしくもない」
俺の首の後ろに回していた手をほどき、ゆりは自身のグラスにワインを注ぐ。
テーブルに座り、少し脚を開きワインを一気に飲み干す。
「亭主と喧嘩でもしたのか」
「私が主人と喧嘩?」
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