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「私はいずれこの店から去る。だからもう当てにしないで。困った時だけ、みんなのヘルプをします。得意先には引き続き銀座店を利用していただけるように、お願いするわ」
「早苗さん、宜しくお願いします」
早苗さんは役員に昇格。
店長よりも立場は上となり、店長も逆らえない。
店長は桃花ちゃんとともにカフェ李里案のオープン準備に向かった。
早苗さんはアレンジ教室の準備をしている。私は教室の隅で注文品の花束を作成する。
「早苗さん、本当に凄いですね。役員だなんて…」
「きっと前社長の恩恵よ。有り難く受けるわ」
「前社長の?早苗さん大人ですね」
「私と前社長は男と女である前に、善きパートナーだったから。別れても信頼関係は壊れないわ。でもね華ちゃん、あなたにはそんな恋愛は無理、職場で二人きりにならない方が無難よ」
「…ぇっ?」
早苗さんの言葉にドキッとした。
「あの社長に知れたら、きっと解雇だわ」
「…早苗さん」
「どうせ恋をするなら、報われる恋をしなさい」
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