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仕掛けは、ごく単純だった。
ブレスレットとゴムを並べてグローブボックスに入れる。
ホテルに入った後、ゴムを忘れたふりをして、美緒に取りに行かせた。
チェックインをすませ、フロント近くで美緒を待つ。
エレベーターホールから現れた美緒は、明らかに普段とは違う表情をしていた。
オレを見つけても、いつものように微笑まない。
目線を落とし、とまどい、どうしていいのか分からないといった風情。
心なしか、寂しい気分になった。
あの微笑みはいつの間にか、あって当たり前のものになっていたらしい。
肩を抱き寄せ、レストランへと誘導した。
初めての時とは違う強張りを感じる。
いつも店に入る前に見せる期待感も、今日はまるで表情に出なかった。
従業員への微笑みもなく、席に着いても見るからにぼんやりしている。
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