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カードが配布された。
そのカードは誰もが知っているカード。
トランプである。
「なるほどな。この場合はスペードのエースが最強ってことか。だが絵札はどうなるんだろうな」
「あ、生徒手帳に書いてあるよ」
そう言って詩織は、カードと共に配布された手帳を開いた。
「えーと・・・。マークはスペード、ハート、ダイヤ、クラブの順に強くて、数字は1が最強で10まである。で、絵札の人は日常生活に無意識に干渉してしまう能力の人だって」
「つまり、序列には入っているがあまり関係ない人。簡単に言えばちょっとした異常持ちってことか。で、詩織はなんだった?」
そうたずねると詩織は自慢げにカードを見せてきた。
「ダイヤの1か。つまり学年で三位、三番目に強いってことか。と言うかお前より強いのがまだ二人もいるのかよ」
ダイヤの1。
つまりは四人いるエースナンバーの一人である。
「で、翠月は何だったの?」
と、興味津々で、見せる前に翠月の手から掠め取った。
「・・・これ序列どこら辺なの?」
「生徒手帳見ればわかるんじゃないか?」
そうして詩織はパラパラと手帳をめくって翠月の目の前に突き出した。
「・・・最下位の絵札」
つまり・・・
「ジョーカー・・・」
もはや笑うしかない悲惨な現実に二人はため息を吐き、静かにカードをしまった。
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