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「・・・おかしい」
ふと翠月がつぶやいた。
「なにが?」
「いや、明らかにおかしいだろ」
と今の現状を確認して。
「なんで一向に演習場につかないんだよ。案内図は見たがこんなに歩く距離じゃなかっただろ!」
そう、この学院の授業は基本的に自由。
入学してからの約半年は生徒がそれぞれ自由に半年後に行われる多種族との戦いのために学院内の様々な場所で訓練している。
だが・・・
「入学して一週間、学生寮に行く以外まともに行けた試しがねぇ」
まぁ、何が言いたいのかと言うと。
ほかの生徒に目的地に行くのを妨害されているのだ。
「確か、五人一組のチーム作らないとだめなんだろ。・・・こんなんで出来んのかよ」
「でも、ほんと・・・そろそろうざいかな~」
一週間、この調子なので詩織もそろそろストレスが限界に達しようとしていた。
「しかたねぇな。そろそろ相手してやろうか」
そしてこの学院での生徒どうしの戦闘が始まる。
「とりあえず、詩織、ここ一週間で気になることなんかなかったか?」
翠月の戦闘はまず分析から行う。
様々な情報を収集し戦闘方法を確立していく。
それが翠月の戦闘スタイルでありとあらゆる戦いでの必勝法でもある。
「気になることかぁ~。私たち以外にも何人か同じような目に遭ってるらしいけどそれ以外はあんまりないかな」
「そうか・・・」
少し考えて。
「なら、今から情報収集するか」
「どうやって?。被害に遭った子に聞こうとしてもたどり着けないと思うけど・・・」
「なに言ってんだ。今からって言ったろ。つまり今この場でやるんだよ」
「・・・どうやって?」
正直なところ詩織はあまり頭が良くない。翠月の言ってることを考えようとはせずに疑問をもつだけで終わってしまうのだ。
だが・・・
「じゃあ、最初から考えてみるぞ。詩織、俺達が目的地にたどり着けないのはなぜだ?」
「同じ場所をぐるぐる回っているから・・・かな」
「そうだな。ならそれは俺達の意思か?」
「違う・・・」
詩織は翠月の質問に一つずつ答えていく。
「そのとおり。誰かが俺達に何かしている。ならその[何か]とはなんだ?」
「・・・わからない」
「そう、わからない。ならその謎を紐解いていこう」
そう言いながら順番に指を立てていく。。
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