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「この手の能力はおおよそ三種類ある。
一つ、[空間干渉]
二つ、[認識改変]
三つ、[視覚改変]
まぁ、思いつく限り大まかにはこんなとこだろう」
そうすると翠月は一度手を握り、また指を一つずつ立てていく。
「じゃあ、一つずついくぞ。まず[空間干渉]。これは俺達がいる場所そのものを変える力だ。まぁ、要するに俺達は知らぬ間に歩いている場所そのものを変えられている。っていうことなんだが・・・。詩織、何かが不自然に動いたりしていることはあったか?」
「ない」
即答。
詩織のすごさの一つがこれである。
簡潔に言ってしまえば詩織は視界に入るものを見落とさないのだ。
故にこの手の質問は即答することができるのである。
「そうか。なら一つ目はありえない」
「なんで?」
「[空間干渉]で場所を変えて、なにも違和感がないのはありえない。人の視界に入る場所でまったく同じ場所など存在しないからな。空間干渉で場所を変えた場合、どんなにうまく繋げたところで何らかの急激な変化が生じる」
「な、なるほど?」
じゃっかん疑問が混じっていたような気がするが無視して進める。
「じゃあ次、二つ目の[認識改変]。これは連続した風景、つまり俺達が今見ている動き続けている風景では、即ばれる」
「それって私達が何をどう認識しているかわからないから・・・とか?」
驚愕した。
「・・・・・・詩織、賢くなったな・・・」
しみじみとそう思った。
「うるさいよ!」
「まぁ、落ち着け。詩織の答えは合ってるよ。だって、相手が何考えてるのかわからないのに[認識改変]なんてしたら・・・。詩織がいきなりトマトに見えるかも知れないだろ」
「・・・なんでトマト」
「たとえばの話だよ。後は、そうだな、もし俺達が蟻を見ていたとして、相手が遠くから[認識改変]をしたら相手には蟻が見えないからそれは別のものに変わってしまう。・・・トマトとか」
ちなみに詩織はトマトが大嫌いである。
「そういうことで、[認識改変]もありえない」
「じゃあ、三つ目の[視覚改変]?」
「決めるのはまだ早い。これも分析してからだ」
そして三つ目の指を立てる。
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