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「お前の疑問はこんなとこだろ。
一つ、なぜ能力が[視覚改変]だと気づいたのか。
二つ、どうやってこの場所を特定したのか。
三つ、なぜ対価がばれたのか。
そして最後に、
四つ、試験会場から逃げたのがお前だとなぜ知っているのか。
一つずつ教えてやるよ」
翠月は詩織にやったように手を一度握り再び一つずつ指を立てていく。
「じゃあ、一つ目[視覚改変]だが、これはただの消去法だ。誰にだってできる。
二つ目、場所の特定は[視覚改変]で迷わせていると分かれば、俺達のことやその周囲が見える場所に限定されるから特定できる」
その答えに夢幻は疑問を持つ。
「確かにそうだけど、それでも場所ならたくさんあるはず・・・」
「まぁ、そうだろうな。もっともな疑問だ。だが、俺達も能力を持ってること忘れてるのか?」
「でも、そんな広範囲を捜索するような能力なんてそんなにないはずだけど・・・」
「だが、極小数ならある。とはいえ、俺は別に能力そのもので特定したわけじゃない。自分の能力を少し応用しただけだ」
「応用?」
「聴覚の増幅。これが俺のしたことだ。あと言っておくが俺の能力は[聴覚改変]とかじゃないからな」
「それなのに、聴覚を増幅できるのかい?」
そして、翠月は自分の能力を明らかにした。
「俺の能力は[虚偽創作]。あらゆるものを偽るだけの能力だ。正直言ってこんな能力、戦闘じゃあまり使い物にならんがな。そしてまぁ、今回はこの能力で自分の聴覚を偽った。ただそれだけだ。もちろん対価はあるがな」
「聴覚を偽る?」
翠月は自分の耳を指差しながら。
「自分の体だけなら事実を少しだけ偽れる。俺がさっきやったのは、[視覚]という対価を払い[聴覚]を偽り、より聞こえるようにした。まぁ、一種の五感操作みたいなものだ。お前の居場所は心臓の音で簡単に見つけれたぞ」
「な!。心臓音・・・だって・・・」
「ちなみに、三つ目と四つ目の疑問もこれで説明つくだろ?。三つ目は能力を解除または使用するときに呼吸を始めたり止めたりした音で対価は呼吸だとわかる。四つ目はさっきとおなじ心臓音。心臓音なんてみんな同じじゃないんだからすぐに分かるだろ」
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