6人が本棚に入れています
本棚に追加
「翠月!、翠月!」
「・・・うぉ!」
「どうしたの?。大丈夫?」
いつの間にか詩織の顔が目の前にあった。
「問題ない。少し考え事をしていただけだ」
「そう、それならいいんだけど」
「で、結局その二人をどう倒すんだい?。話し合いで仲間になってくれるほど甘くはないと思うよ」
「そんなの決まってるだろ。夜継とか名の知れた家柄の連中は馬鹿みたいにプライドが高い。だからまぁ、相手に能力を使わないで一発殴れば終わりだ」
「そんなこと・・・夜継相手に出来るわけがない」
「お前は、だろ」
その言葉に夢幻は言い返す。
「暗殺に長け、能力を使うような相手に能力使わないで勝つなんて不可能だ!」
「勝手に決めつけんじゃねぇよ。確かに普通に戦えば不可能だろうな。この世に不可能なんて数え切れんほどあるさ。だがな[不可能]は確実じゃない。知恵と判断力、そして少しのイレギュラーがあれば簡単に覆る。・・・信用できないなら見ていろ。[人間]の戦い方を見せてやる。いくぞ詩織」
そう言って翠月は生徒会室から出て行った。
「ねぇ。ほんとに勝てないと思う?」
そんな詩織の質問に夢幻は答える。
「・・・勝てるわけないよ」
「私もね、そう思う」
「え?」
詩織からでた意外な言葉に驚く。
「だって[人]なんて私が投げた石ころ一つで簡単に死んじゃうんだよ。翠月も能力が無ければただの[人]。夢幻だってそうだよ。殺そうと思えばいつでも殺せる」
その言葉に背筋が凍りつく。
「翠月だってたぶん思ってるよ。・・・なんで異能なんてあるんだろ」
「それは・・・。他種族と戦うためなんじゃ・・・」
「じゃあ、なんで戦う力を持ってるのに勝てないの?」
「そ、それは・・・」
分かるわけがない。
戦う理由なら考えたことはある。
でも、勝てない理由なんて考えたことは無い。
なぜなら勝てないのがあたりまえになってしまっているから。
最初のコメントを投稿しよう!