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「兄さん、誰かここに来る」
女生徒がつぶやく。
「誰か、ねぇ。誰が来たところで気づかぬうちに死ぬから関係ない。いつも通り・・・」
その青年の足元には血まみれの教師が三人ほど倒れていた。
「殺るぞ」
「・・・任せて」
その二人の生徒は[夜継]の名を持ち、学院の教師すら簡単に殺してしまう異能者。
そして、始まる。
「向かってくる奴は教師だけかと思ったんだがな」
「あなたは何秒生きていられるの?」
その問いに答えるのは・・・。
「さぁな、少なくともお前らごときには負けねぇよ」
そして、不敵に笑う。
「殺すしか能がない臆病者の[暗殺者]ども、手加減してやるから無い脳みそフル回転させて俺を殺してみろ」
蒼忌翠月。
「・・・兄さん、もう殺していい?」
「あぁ、いいぞ。反応する間も無く殺してやれ」
その言葉を聴いても翠月の表情は変わらない。
「さぁ、[おにごっこ]をはじめようか」
女生徒は数回地面の感触を確かめるように足を鳴らし。
一瞬。
それは、女生徒に翠月が短刀で貫かれるまでの時間。
「・・なる・・・ほど・・な・・・」
貫かれたのは、右のわき腹。
だが、驚いたのは貫かれた翠月ではなく、貫いたはずの女生徒だった。
「!。どうやって・・逸ら・・した・・・の?」
「おいおい・・・暗殺者が一撃急所外した程度で・・動揺してんじゃねぇよ」
そう言いながら、女生徒の手首を掴む。
「・・・今の速さが・・見えるはずが無い!」
翠月の手を振りほどこうともがきながら叫ぶ。
「あぁ・・・。今の速度のことか・・・。まぁ、確かに速いが・・たかが[音速]だろ?」
そこで女生徒が動揺する。
「ちなみに・・能力は[音響改変]って言ったところか?」
女生徒はとうとう動揺を隠せなくなった。
「な!・・・」
「なぜ知ってる。って顔だな。こんなもん一撃食らえばすぐに分かるだろ・・・」
そう言いながら体から短刀を少しずつ引き抜いていく。
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