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「お前の能力は一撃目さえ死ななければ、体に差し込まれる速度で分かる。
[秒速334m]
それが、お前の速さ。すなわち[音速]だろ」
誰もが知ってる[音速]。
空気中での速度は[秒速334m]。
人間の目で認識するのはほぼ不可能な速度である。
・・・が
「詩織の速度に比べれば、避けれないまでも認識して逸らすことくらいなら俺にも出来るさ。それにお前は別に速くなるわけじゃない。音に乗ってるだけだろ?」
次々と会ったばかりの女生徒の能力を暴いていく。予想ではなく確定を持ちながら。
「・・・音葉。そいつから離れろ」
「それは無理だ」
青年の声に応えたのは女生徒[音葉]ではなく、音葉の手首を掴んでいる翠月だった。
「俺がこの手を離したらこいつはゲームオーバーだ」
そう言って、薄ら笑いを浮かべながら音葉の手首を離した。
その瞬間、二つの出来事が起こった。
音葉が地面を鳴らし、音速で下がる。
天井が[音]を立てて崩れ落ちる。
この現象が引き起こす結果は。
「がっ!」
音葉が翠月の横を音速で吹き飛んでいった。
「音葉!」
「安心しとけよ。どうせ体鍛えてんだろ、このぐらいじゃ死なねぇよ」
「・・・・何をした」
今にも襲い掛かりそうな剣幕で問う。
「なにをしたと言われても。ここに来る前に仕掛けといた爆弾を爆発させて天井を崩落させただけだが」
「それでどうして音葉が・・・」
「はぁ、妹の能力ぐらいちゃんと把握しとけよ。お前の妹の速度の秘密は[音]。つまり音波に乗って動くから音速がでるわけだ。そして[音]っていうのは[反響]する。音速で移動する通過点に瓦礫を落とすことで大音量で落下音を鳴らすことによって、お前の妹の[足音]の音波をかき消して音波の方向を変えた。あほな脳みそで理解できたか?
まぁ、爆弾は違うことに使おうと思ったんだがな・・・」
[人間]の戦い方。
これが翠月の知恵であり異能を看破する力。
「・・・・・・で、その体で今度は俺を倒す気か?」
そう、翠月は立っているのもやっとな状態である。
「俺の能力は試しに食らうみたいなことすると一撃で死ぬぞ」
能力を行使を始める。
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