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というわけで、今、翠月達がいるのは俗に言う[妖怪]が住む世界。
妖怪の都[妖落町]
人が足を踏み入れることは滅多になく、この町に入ったものは死んでも出れないと言われている。
そして・・・・。
「この町には、地獄に通じる門があるらしい」
「お前、何でそんなこと知ってるんだ?」
「翠月は物知りだから」
「確実ではないがな。あくまで[らしい]だ。ただの噂でしかない」
「噂は信じないんじゃなかったのか?」
「べつに俺が信じないと言ったわけじゃない。月影が勝手に言っただけだ」
「じゃあ、信じるのかい?」
「さぁな、だが[噂]があるということはそれらしいことがあるから、だろ。信じるも信じないも実際に見てみればわかる」
「おいおい、実際に地獄の門見に行くとか言わないよな」
「わざわざ見に行かなくとも、この町で行動してたら嫌でもあるかどうかわかるだろ」
その言葉に二人は微かな重みを感じた。
「そろそろあがるか」
温泉からあがり待合所に行くと、音葉と詩織はまだあがっていなかった。
「いい湯だったかい?」
そう声をかけてきたのは番台[玉藻前]。
「あぁ、いい湯だった。こんな風呂には入ったこことが無い」
「そりゃそうさ、なんたって[この町]の名物だからね」
「また、来るさ」
(こいつ、気づいてるな)
そう話してると詩織と音葉が出てきた。
「あ~、いいお湯だった」
「そうですね、また来たいです」
「翠月、どうだった?」
「あぁ、いい湯だったよ」
「だよね!また来よ」
「そうだな、近いうちに[必ず]来るとするか」
そうして湯屋を出ようとすると音葉が壁に一枚の張り紙を見つけた。
「兄さん、これはなんでしょうか」
「ん?、張り紙か。[妖楽教]?入信って、信者集めのポスターかよ」
「ここでも宗教があるのか」
「この子結構かわいいかも」
「まぁ、否定はしない」
そんなことを話しながら湯屋をあとにした。
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