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そして現在。
翠月がゆっくり出来るところに行けと言ったので渋々車を動かし、話を聞けるのかなと思いきやまた相手にされずそんなこんなでゆっくり出来るであろう場所に到着した。
「ここは、私達の事務所よ。他の妖怪は滅多に来ないからゆっくりはできるわよ」
そして詩織が一言をつぶやく。
「私達の世界とあまり変わらないんだね」
「それはそうよ。今は人間の男がこの世界を掌握してる感じだし」
「人間の男か、誰だ?」
翠月は問う。
「その男の名前は[大虎酒天]。妖怪の総大将である[ぬらりひょん]をたった一人で殺した男よ」
「妖怪の大将を倒した男・・・か。そいつは今どこにいる?」
「さすがにそこまでは分からないけど町を歩いてればもしかしたら会えるかもね」
「まずはそいつに会うか」
夢幻がそれを慌てたようすで止めようとする。
「ちょっと待ってよ。総大将をたった一人で殺す相手だよ!。あまりにも危険すぎる!」
だがそんな様子の夢幻に対して翠月は。
「落ち着け。たとえ総大将を倒した奴だとしても俺達と同じ・・・・・」
言葉を止める。
「どうしたの?。翠月」
詩織は疑問に思い声をかけたが、翠月は顔を伏せたまま動かない。
「どうしたんだ、こいつ」
「何かを考えているようですが・・・」
そう話していると翠月は顔を上げて言った。
「だめだな。まだ不確定要素が多い。おい、運転手いくつか質問する。答えろ」
「なんで、質問する側がえらそうなんですか。あと運転手って呼ばないでくれませんか、私は[ひんながみ」って言うんです」
そう言いながら壁にかけてある名札を指差した。
そこには[人形神]という文字が書かれている。
「これで、[ひんながみ]って言うのか、変わってるな」
「変わってるとかほんと失礼な人ですよね」
その言葉を聞き流しながら翠月は小さいほうを見た。
「こっちの名は?」
翠月に見られた子は少し間をおいて答えた。
「・・・・・・[鬼灯]」
「[人形神]ってことは、[神]なの?」
詩織がふとそんな疑問を口にする。
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