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「まぁ・・・予想通りだけど」
心底つまらなそうにそう呟いた。
あえて言っておくが決して剛天が弱いわけではない。三撃目を防ぐことはできなかった。
だが、少なくとも人でありながら音速の攻撃を二撃までは認識して防いでいるのだから。
「さすが、人類最強種だな」
そんな剛天を翠月は素直に評価していた。
「残り、試験を受けていない者はあと何人いる」
あたりを見回してみると戦闘をおこなっていないものはあと翠月を合わせて二人だった。
後ろのほうで先生達が集まって話しているということは、おそらく剛天が新入生に敗北するのは初めてのことだったのだろう。
生徒達が待っていると驚くべき人から意見がでた。
「しかたないの、この学院にそう実力のあるものは居らんからの、残りの二名は妾が相手をしてやろうかの」
そこにいたのは、絶対的な存在感をもつ夜桜月影だった。
「はは・・・ありえねぇ」
翠月のテンションは最底辺まで下がりきっている。
「どちらからがいいかの?」
もう一人の方を見ると。
「あれ、あいつどこいった?」
「逃げたんじゃない?」
月影がそれを確認するともう一度、翠月の方をみた。
「ふむ、逃げたのならしょうがないの。蒼忌翠月、自動的にお主になったの」
そうして月影が目を覗き込んできた瞬間、翠月はすばやく動いた。
「まいりました!」
時間が止まった・・・ように錯覚した気がした。
「ねぇ・・翠月・・・なにしてるの?」
詩織が顔だけにこやかに聞いてきた。
「いや、無理だから」
全員が翠月を見る中。
「え~、これにて序列選定試験を終了します」
そんなこんなで学院最初の試験は、幕を閉じた。
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