第1幕 逆転

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      A1  僕は神戸の繁華街をうろつく。 目がレーダーとなって、女性を探してる。 ハズレ、ハズレ、ハズレ。  いない。いない。 「バー」  来るのが早かったか。 センター街は十一時開店の店が多かった。 十時じゃ早すぎる。 港町で華やかな印象がある神戸といっても 所詮、地方都市。  ハズレ、ハズレ、ハズレ。  僕は元町の大丸の側を通り、 メリケン波止場まで歩く。  その昔、喜劇王のチャップリンが ここから日本に上陸した。 実際、見たような錯覚が僕にはある。  おどけて、僕は数歩だけ歩いてみる。 次にタップを踏んでみる。
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