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パソコンの右下に表示された時計が17時半を表示すると同時に私は電源を落とすと席を立った。
「あれ? 朽木もう帰んの?」
「うん、予定あるから」
私は隣に座る同僚に返事をすると部屋の奥にある更衣室に向かった。
普段はデニムやショートパンツなどラフな格好で通勤しているけど、今日は話は別。
出勤前に遊華が選んでくれた、最近袖を通していなかった淡い紫色のミニ丈のワンピースに、黒の七分袖の春物ジャケット。
仕事中に留めていた髪を解き、とれかけた口紅を塗り直し……。
準備は出来たものの、やっぱり久しぶりに履くミニ丈は恥ずかしくもあったけど、遊華の言葉を思い出す。
『足キレイなんだから出さなきゃ勿体無い! イタリアの時はマキシだったんだから。浅井さん釘付けになったりして』
後半のいらないことまで思い出して、鏡に映る自分の顔がほんのり赤くなっている気がした。
慌てて手で仰ぎながら、事務所を横切った。
「なになに? 朽木ちゃん今日はデート?」
「デートなんていいもんじゃないです!」
「お! 可愛いなそのワンピ」
皆に冷やかされながら私は慌てて逃げるように事務所をでた。
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