プロローク

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就業時間が終わる17時半。 1人2人と席を立ち帰っていく同僚や後輩達を見送りながら、残りの仕事をこなしていく。 1時間ほどして携帯に着信を知らせる緑のランプが点灯している事に気づき、手にとった。 予想通り着信あり。 画面には見慣れた『浅井星空(あさい かなた)』の名前が。 直ぐにかけ直した。 数回のコールで聞き慣れた少し低い声が耳に届く。 『はい』 「もしもし」 『仕事終わりましたか?』 「あと10分程で終わります」 『では紫月達と一緒に夕食をと誘われているんですが』 「分かりました、お店どこですか?」 『今病院の前なんですが、少し待ってます』 「わかりました。ちゃちゃっと終わらせておりますね」 『急がなくて大丈夫ですから慌てないでください』 「はい」 電話を切ってため息を1つ。 今の会話は誰に聞いても恋人が相手だと信じてもらえない。
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