プロローク

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驚く私に遊華はニヤリと笑いながら小声で囁いた。 「ほら、初めて会った日皆で焼き肉行って桜羽黒ビール見つけて喜んで頼んでたでしょ?」 「……あぁ。そう言えば……」 遊華に言われて思う出したものの、やっぱり驚きは消えない。 浅井さんはいつもそうだ。 はっきり私が言わなくても大抵の事には気がついてくれて、先回りしてくれる。 好きな物を頼んでくれていたり、行きたかった場所に連れて行ってくれたり、会いたいなと思う頃に誘ってくれたり。 それがあまりに自然で。 自分の中で自分が言ったんだと錯覚すら覚える。 「浅井さんって本当に桜羽の事良く見てるよね。愛されてる~」 「あははは、そうかな?」 「そうだよ。うちの旦那さんなんて何年一緒にいても私の好みいつまで経っても覚えないんだから」 「そう言いながらいっつも一緒で幸せそうなくせに」 「あははは、ばれた?」
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