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時計で時間を確認したら、大分終わりの時間が近かった。
「いやー、良い汗掻いたわぁ」
俺がリストバンドで額の汗を拭う傍らで、アイツは目元にタオルを乗せながら大の字になってくたばってる。
顔を真っ赤にして、肩で息をしながら。
……計 算 通 り っ !
思わずニヤリと上がっちまった口元を手で隠しながら、辺りを見回すけど。
どいつもこいつも自分らの事に夢中で、俺達の事なんて眼中に無い。
「はは、随分お疲れだな」
「ちょっとは……加減……しろ……!」
タオルを退かす余裕も無いらしく、腕を大きく広げたままのアイツに近付いて。
屈んでから最後にもう一回周りを確認して、軽く唇を重ねた。
「何をッッッ!?」
「ごめんなさいのチュー」
焦りまくって飛び起きたアイツの、さっきとは違った意味で更に真っ赤になった顔。
余裕ない感じが堪んねぇ……。
俺がしれっと口の端だけで笑いながら言うと、アイツはタオルで顔を隠すみたいにして俯いちまった。
あー……ダメだわ、本気で可愛い……。出来ればこのまま襲いたいくらい。
「大丈夫だよ、凉介。ちゃーんと見られてないか確認したからさァ?」
「そ、そういう問題じゃ無くてだな……歳とか場所とか考えろバカ!頭使え!」
普段は済ました顔で、如何にもなんでも出来ますって顔してるクセに。
モヤシだったり、料理が出来なかったり、夜はすぐ眠そうにしてたり、実は弱点だらけ。
そういうトコが可愛くて、守ってやりたくて、逃がしたくなくなる。
真っ赤になった顔を見られたくなくて、必死にタオルで顔隠してるトコとかも。さ?
「たまにゃー健全な運動も良いもんだろ?」
「敦、その、だな……不健全な方の運動も、その、するのか?」
少しタオルをずらして、上目遣いに聞いて来る涼介。
バカお前、40半ばの野郎がする仕草じゃねぇだろうが……。
「ハハッ!いつものホテル、寄ってくか?」
小さく頷く涼介。
ハッキリ言わして貰おう。
俺がホテルまで我慢出来そうにねぇよっっっ!!?
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