休日

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 その日は珍しく二人して休みだった。  休みの日は中々起きてこない彼と違って、私は生活リズムを崩さない。  いつもならば、作られた弁当と、朝食だけが置かれたキッチンに起きてくるのは私の方だが。  彼が休みの日はゆっくりと寝坊する彼に代わって、私が朝食と弁当を作る。  二人して休みならば、それは自然、私の役目になるのだろう。  さて、何を作ったものか。  欠伸を噛み殺しながら、私は取り敢えず珈琲の準備だけを始め。ぼんやりと思考を巡らせる。  朝は米だと譲らない彼だから、炊飯器には炊きたての米がある。  確か昨日の残りの味噌汁が少しと、材料は何があったか。  あぁ、ほうれん草とベーコンがあった筈だ。  卵はなるべく切らさない様に常備しているし、それで行こう。  自分の為に用意した珈琲を淹れながら、決まった朝食のメニューを思って頬を緩ませる。  先ずはほうれん草。手頃なサイズに切って、軽く茹でるだけ。  なのだがそこで一手間。  既製品の出汁だが、鍋に入れた少しの水に入れて沸かし。出汁で茹でる、これだけで随分と味が変わる。早速ほうれん草のおひたしが完成だ。  続けてその鍋に昨日の残りの味噌汁を継ぎ足し、味を見ながら味噌を足して整える。二人分には心許なかったが、これで十分な量だろう。  余分に切ったほうれん草も具材として足すのを忘れない。  後はベーコンエッグ。だが今日は和食風なのだから、合わせる為にフライパンには胡麻油を伸ばして。温まる少し前に醤油を少々。  先にベーコンを強火でカリッとさせれば、焦がした醤油の風味が立ち上る。  あとは火を落として、卵を落として蓋をするだけ。彼が起きてくる頃には、余熱で半熟に仕上がった醤油と胡麻の香りで燻されたベーコンエッグが出来上がるだろう。  言っておくが、私に料理の心得は殆ど無い。雰囲気でなんとなくしているだけだ。  だがそれでもある程度のモノに仕上がるのは、彼の手解きあってこそだろう。  私は使い終えた器具だけを洗って、珈琲を楽しみながら静かな朝の一時を堪能する事にする。
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